柱七番町の家

photo: mamoru ishiguro

中心のある平屋

ご高齢の方が一人で暮らすための木造平屋の住宅です。敷地は交通量の多い交差点に面した角地であり、依頼主のご家族が近隣で営んでいる会社の従業員駐車場として使われている場所でした。住宅の建設後も残った敷地を会社の駐車場として引き続き使用するため、建物を交差点に寄せて敷地の隅に配置しました。また車が敷地内を通り抜けできるようにして駐車場の利便性を高め、デイサービスなどの送迎が敷地内で安全にできるようにしました。

建物の周囲は交通量の多い道路と会社の駐車場なので、住空間を周囲の外部環境に向けて直接開くのではなく、建物の中心部に静かに生活できる場所をつくろうと考えました。主な生活の場となる居間を外部環境から距離をとった建物の中心に設け、その他の用途(入口・食事・就寝・収納・水回り)の場を建物の外周部に配しています。
また回遊性のある一室空間とすることで移動がスムーズになり、ヒートショックのリスクを抑え、高齢者にとっても介護者にとっても生活しやすい住空間になるように配慮しました。

建物は大小2つの箱を積み上げた凸型断面の形状です。中心部には垂直方向に伸びる吹抜け空間があり、東西南北全ての方角に空を望む高窓を設けました。中心にある居間からは4方の高窓越しに太陽と雲の動きや天候の変化など、外部の自然の様相が一日中豊かに感じられるようになっています。
また間仕切り壁の先に見え隠れする外周部の窓からは、建物周辺の外部の活動の様子が伝わってきます。

将来的に体の移動が難しくなった場合でも、家の中心に居れば外部の世界とつながりながら豊かに暮らすことができる、そんな生活の場をつくろうと考えました。

間仕切り壁が支える構造

住空間を分節する間仕切り壁は、全て構造用合板を貼った耐力壁です。耐力壁の一部は最上部の屋根まで伸び、凸型断面の吹抜け空間を合理的に支えています。
一方、外郭を構成する外壁は全て非耐力壁であり、断熱性と吸音性を高めるため木毛セメント板で仕上げています。
耐力壁・非耐力壁ともに、材料を室内あらわしにしていますが、白い塗料を塗り込んで粗雑な表面を手触りよく調整しています。

低層屋根の開口補強のため設けた井桁状の大梁は、天井の段差を見切る部材となり、梁上の外壁面材を取り付けるための下地部材にもなっています。

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