下五井の家

photo: mamoru ishiguro

中庭のある木造平屋の住宅です。ミッドセンチェリーの文化を好む建主さまからのご要望により、当時のアイクラーホーム()というアメリカの住宅を参照して設計しています。
・平屋である
・エントランスを兼ねた中庭を設える
・梁と柱による合理的な架構
これらの特徴を取り入れながら、天井が高く風通しの良い、明るくおおらかな住宅をつくろうと考えました。
直線的な木梁が整然と並列する木造架構によって屋根の水平面を強調し、間仕切り壁の欄間に視線が抜けるガラスを入れ、片流れの大きな屋根の存在が一体的に感じられるように計画しました。
住宅の中心にはエントランスを兼ねた中庭があり、室内の各スペースは中庭に向かって開かれています。また敷地の南側には隣接する親世帯の大きな庭が広がっているため、庭に面したリビングはテラス越しに外部に開かれています。中庭に向かうプライバシーが守られた空間と、外部の庭に開かれた広がりのある空間が重なり合った住宅です。
内外装とも簡素に仕上げた大屋根の空間が、照明・家具・インテリア雑貨など、建主さまが収集した多彩な調度品によって豊かに設えられています。

※アイクラーホームの住宅
アイクラーホームズ(Eichler Homes)は1940年代から70年代にかけてアメリカで造られた建売住宅です。ジョーゼフ・アイクラーという住宅建設業者(ハウスメーカー)が指揮をとり、美しく実用的な住宅を大量生産する方式を生み出し、家族向けの住宅をリーズナブルな金額で提供しました。様々な形式で造られた一連の住宅は、アイクラー氏のモダンな美意識によって特徴づけられており、そのデザインは半世紀経った今でも現代的な美しさが感じられ、現存する住宅は今でもとても人気があります。

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